動画配信サービスで高画質コンテンツを楽しむためには、DRM(デジタル著作権管理)が不可欠です。これまでGoogle Chromeは、主にGoogle Widevineをサポートしていましたが、Windows 11で新たにMicrosoft PlayReady (SL3000対応環境のみ)をサポートしました。
本記事では、配信事業者の方々などに向けて、今回のGoogle Chromeの対応が何を意味するのか、その背景や理由、詳細について解説していきます。
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なぜ今、Google ChromeがMicrosoft PlayReadyに対応したのか
動画配信サービスにおいて、視聴者の4K・HDRで視聴したいという需要は増してきていますが、不正コピーをする側にとって高画質な映像は価値が高いため、配信事業者としては、コンテンツをハードウェアレベルで保護してくれるDRMを要求しています。
しかし、これまでWindows上でのGoogle Chrome1正確には、Chromiumベースのブラウザの多くはWidevineに対応しています。は、Google Widevine(以下、単にWidevine)をサポートしてきましたが、WindowsがネイティブでサポートしているMicrosoft PlayReady(以下、単にPlayReady)と比べると保護レベルは落ちるため、Windows+Chromeで高画質映像を楽しむことはできませんでした。2WidevineがOSレベル・ハードウェアレベルでサポートされているAndroidやChromebookなどでは4Kなどの高画質映像を視聴することはできます。
そこでGoogleは、Chromeブラウザを利用するユーザーの利便性を追求するために、WindowsがネイティブでサポートしているPlayReadyをサポートするようにしたと考えられます。
高画質映像を配信するために知っておきたい、DRMのセキュリティレベルについて
先述しましたように、4Kなどの高画質な映像は不正コピーを意図する側にとっては恰好のターゲットとなるため、配信事業者にとっては、なるべく不正コピーのリスクを避けるために、ハードウェアレベルの保護を提供してくれるDRMを要求するケースが多いです。しかし、ここでいうハードウェアレベルの保護、というのが、どのDRMのことか分かりづらい、という方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しておきます。
DRMのセキュリティレベルについて
DRMにおいて保護のレベルと言ったときに、よく「セキュリティレベル」という言い方をします。そのセキュリティレベルを説明する時に、区別のために よく使われる用語が、ソフトウェアレベルとハードウェアレベルというものとなります。
ソフトウェアレベルのセキュリティとは、OSでネイティブにサポートされているDRM(この場合、あくまでOSでサポートされており、ハードウェアで保護されていないものを言います)や、OS上で動作するDRMに対して用いられます。本記事の例で説明しますと、Google Widevineは、Googleが開発しているDRMであるため、Microsoft社のWindowsでサポートされておらず、あくまでもGoogle Chromeに同梱されるソフトウェアで動作するDRMとなっているため、ソフトウェアDRMと呼んだりします。
しかし、年々不正コピーをする側の技術も高度化しているため、ソフトウェアDRMでは不足しているとして、新たに登場したのが、ハードウェアレベルで保護しようというものが、ハードウェアレベルのセキュリティや、ハードウェアDRMと呼称しているものとなります。
ハードウェアレベルのセキュリティを端的に説明しますと、ソフトウェアレベルのセキュリティと異なり、暗号鍵をTEE(Trusted Execution Environment)で管理したり、映像をセキュアなパスを通して表示するなど、コンテンツを保護する機能が強化されたものです。
各DRMのセキュリティレベルについて
では、どのDRMが、どのようなセキュリティレベルを提供しているかが分からない、という方もいらっしゃるかと思います。結論を言いますと、どのDRMもソフトウェアレベル/ハードウェアレベルのセキュリティを提供しておりますが、それぞれDRMによって呼称が異なりますので、以下に簡単な対応表を記載しておきます。
| 項目 | Microsoft PlayReady | Google Widevine |
|---|---|---|
| ハードウェアレベルのセキュリティ | SL3000 | L1 |
| ソフトウェアレベルのセキュリティ | SL2000 | L3 |
よくECサイトで、パソコンやスマホ、スマートテレビなどを見ているときに、「PlayReady SL3000対応」だったり、「Widevine L1対応」といった文言が記載されている場合がありますが、それらはハードウェアレベルのセキュリティをサポートしているという意味となります。
さいごに
以上、Google Chromeが、Windows 11でPlayReadyサポートをしたことについて解説してきました。まだ対応し始めたばかりで、他にも細かい要件はいろいろとございますが、Google Chromeでも高画質配信がセキュアに配信できるようになったことで、ユーザーの利便性はあがったと言えるでしょう。
弊社では、配信事業者様向けにDRMの導入をサポートしておりますので、DRMを検討されている方は ぜひとも弊社まで お問い合わせください。
- 1正確には、Chromiumベースのブラウザの多くはWidevineに対応しています。
- 2WidevineがOSレベル・ハードウェアレベルでサポートされているAndroidやChromebookなどでは4Kなどの高画質映像を視聴することはできます。
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