AndroidスマホやAndroidTVの商品説明に「Widevine L1対応」というような文言を見たことはありませんでしょうか。あまり聞きなじみのない言葉で混乱されるかもしれませんが、WidevineというのはGoogleが提供する映像コンテンツなどを不正コピーから守るためのDRMと呼ばれる技術の1つです。
本記事では、そんなGoogle Widevineについて、技術的な仕組みから導入方法までを解説し、動画配信事業者や技術者が理解を深めるための情報を提供します。
Contents
Google Widevineとは?
冒頭でも軽く触れましたが、「Google Widevine」とは、Googleが提供するDRMで、主にGoogleが提供するプラットフォームで動作するものとなっております。DRMとは、デジタルコンテンツの不正コピーや再配布を防ぐための技術です。動画配信におけるDRMについては、こちらの記事で詳細に説明していますので、そちらも併せて参照ください。
Google Widevineは、元々、2003年に設立されたWidevine Technologies社によって開発されたDRMです。2010年に、Widevine TechnologiesはGoogleに買収され、現在では様々なデバイスで採用されているDRMとなります。
Google Widevineに対応しているデバイスは次のようになります。
- Android(4.3以降)
- Chrome OS
- Windows(Chromiumベースのブラウザなど)
- macOS(Chromiumベースのブラウザなど)
- Smart TV(Samsung, LGなどのAndroid TV)
- ゲーム機(一部対応)
Google Widevineの仕組み
DRMは標準規格があるため、Widevineであろうと、PlayReadyであろうと、ある程度似通った仕組みとはなっています。簡単にDRMの流れを俯瞰すると以下のようになっています。

- コンテンツをDRM暗号化して配信
- クライアントデバイスは、DRM暗号化されたコンテンツを再生するために、
ライセンス発行サービスにライセンスをリクエスト - ライセンス取得後、復号鍵を使って再生
DRMの簡単な流れは以上となりますが、次にWidevine特有の仕組みについて見ていきましょう。
Widevine Content Decryption Module (CDM)
DRM暗号化されたコンテンツと取得したライセンスを使用し、コンテンツを復号するためのモジュールとなります。ブラウザであれば、Chromeなどと同梱されており、EME(Encrypted Media Extensions)と呼ばれるHTML5の標準規格を介して動作します。Android OSなどでは、メディアプレイヤーからCDMが呼ばれます。
セキュリティレベル:L1・L2・L3
Google Widevineは、デバイスのセキュリティ状況に応じて、以下のように3つのレベルに分類されます。
セキュリティレベル | 特徴 | 要件 |
---|---|---|
L1 | 最高レベル。すべての処理がTrusted Execution Environment(TEE)内で行われる | ハードウェアDRM対応 |
L2 | 暗号処理はTEEで行うが、動画再生はソフトウェア | 一部ハードウェア対応 |
L3 | すべての処理がソフトウェアで行われる | ハードウェア非対応 |
L1は復号処理などがセキュアなハードウェア上で行われるため、最も安全で、HDや4Kコンテンツの再生に必要とされることが多いです。冒頭でも挙げました「Widevine L1対応」と言った謳い文句は、「DRMがかかった高画質コンテンツを再生できますよ」という意味となります。
L3は、ソフトウェア上で動作するという仕様上、L1と比較すると安全性に劣ります。Windows/Mac OS上のChromeブラウザなどはL3に該当します。セキュリティレベルが弱いため、4K未満の画質までしか再生が許可されないことが多いです。
L2に関してですが、Google Widevineが出た当初に存在した一部端末に存在していたセキュリティレベルとなるため、お目にかかることは ほぼありません。
Google Widevineの導入方法
Google Widevineを導入する方法は、あなたが動画配信を行なっている(行おうとしている)事業者であるか、Google Widevineに対応したいハードウェア製造業者であるかによって変わります。
動画配信事業者の場合
あなたが動画配信サービスを開発・運営したい場合、Google Widevineを導入する方法で一番簡単であるのは、弊社のようにDRMを提供している会社を利用する方法となります。
もし自前で すべてを用意したい場合、Google Widevineの資格取得のためにトレーニングを受けたりなど様々な準備が必要となり、また運用コストについても考えなければなりません。より詳細について知りたい方は、弊社のこちらの記事を参照してください。
また、様々なデバイスへの配信を考えている場合、対応しなければならないDRMはGoogle Widevineだけではないため、DRMプロバイダーが提供しているサービスを利用するのが最も短期間・低コストな方法となります。
ハードウェア製造業者の場合
あなたがGoogle Widevineに対応したスマホやスマートTVなどを検討している場合は、前述の資格取得よりも さらに色々なことが必要となります。興味がある方は、以下の公式サイトで詳細を ご確認ください。
Google Widevine公式サイト
https://www.widevine.com/solutions/widevine-drm
さいごに
Google Widevineは、動画配信業界におけるDRMのスタンダードとして、技術的にも運用面でも高い信頼性を持っています。動画配信サービスを展開する企業にとって、Widevineの正しい理解と導入は、コンテンツ保護とユーザー体験の両立に不可欠となります。
もしDRMの導入を検討されている場合は、ぜひ弊社のMulti DRM Kitを ご検討ください。
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DRMが初めての方でも動画配信が初めての方でもお気軽にお問い合わせください。